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光I/Oチップレットは、CPOの次世代として2028年以降の本格採用が見込まれる。Ayar Labsは累計3.7億ドルの出資を受け、Intelは消費電力66%削減を実証した。本記事ではAyar Labs・Intel・NTTの開発動向と日本企業の技術的貢献を解説する。
目次
光I/Oチップレットとは、チップレベルで電気信号と光信号を直接変換し、チップ間通信を完全に光で行うデバイスだ。CPOがASICと光エンジンを同一パッケージ基板上に「並べて実装」するのに対し、光I/Oはチップ内部のダイ・ツー・ダイ通信まで光化する。複数GPU間のスケールアップ接続やメモリのディスアグリゲーションが現実的になる技術だ。
市場導入は、2026〜2028年にプロトタイプ・限定導入が進み、2028〜2032年にAIスケールアップ用途で本格採用が始まると予測されている。
光I/O開発の最前線を走るのがスタートアップのAyar Labsだ。同社の光I/Oチップレット「TeraPHY」は、シリコンフォトニクスと標準CMOSプロセスを組み合わせて製造される。UCIe規格に準拠し、既存のシステム・イン・パッケージに適合する設計だ。
TeraPHYは外部光源「SuperNova」と組み合わせて使用する。チップレット自体にはレーザを搭載せず、外部光源方式(ELS)を採用することで信頼性と交換性を確保している。着脱式光コネクタは、Teramountとの協業で開発され、127μmピッチで32本以上のシングルモード/偏波保持混在光ファイバをサポートする。
NVIDIA、AMD、Intel、GlobalFoundriesから累計3.7億ドルの出資を受け、2024年12月にはNTTドコモ・ベンチャーズも参加した。競合関係にある主要メーカーが共同出資する事実が、光I/Oの業界標準としての位置づけを示している。ECOC 2024では、TeraPHYとAltera FPGA、Corningガラス導波路基板を統合した4Tbps双方向転送を実演した。
Intelは独自のアプローチで光I/O開発を進めている。OFC 2024で発表した「OCI(Optical Compute Interconnect)チップレット」は、業界初の完全統合型光I/Oだ。最大4Tbps双方向データ伝送を実現し、消費電力はビットあたり5pJとプラガブル光トランシーバ比で約66%削減した。
OCIの特徴は、PIC上にInPレーザ光源を直接内蔵している点だ。外部光源方式とは対照的に、光源をチップに統合して外部モジュールを不要にしている。XPUとの接続にはIntel独自のEMIB技術が使われる。将来的にはGPUやAIチップへの展開も計画されている。
NTTは、IOWN構想の中核技術として「メンブレンフォトニクス」という独自技術をベースに光I/O開発を進めている。薄膜InPをシリコン基板上に貼り合わせることで、光変調器や受光器を小型・低消費電力で高密度に実装できる技術だ。
NTTの独自性は、レーザを外部に置かずチップ内に直接搭載する点だ。外部光源方式では得られにくい消費電力低減効果を狙うが、熱応力対策と信頼性確保が最大の課題となる。
NEDOプロジェクト「光チップレット実装技術の研究開発」では、NTT、古河電気工業、新光電気工業が参画し、帯域密度1Tbps/mm、エネルギー効率2pJ/bitを目標に2029年3月末の製品開発を目指す。
光I/O時代に向け、日本企業も独自の技術で存在感を示している。
新光電気工業は、半導体パッケージング技術をCPO実装に展開し、OSAT(後工程受託企業)を目指す戦略を取る。独自のMCeP(Molded Core embedded Package)技術でEICを基板内に埋め込み、その上にPICを配置する3次元実装を開発中だ。さらに、銅配線と光導波路を同一基板上に形成するパッケージ基板も開発しており、光導波路なしの第1世代CPOを2026年以降、光導波路付き第2世代を2030年以降に見据える。
三菱電機は、カナダのPOET Technologiesと協業し、InP材料のEML(電界吸収型変調器付きレーザ)チップをシリコンインターポーザ上に集積した3.2Tbps光エンジンを開発している。InP系光変調器は駆動電圧が低く帯域が広い特性を持ち、シリコン系では到達しにくい高速性能を実現する。
光I/Oチップレットは、CPOの次世代としてデータセンターのアーキテクチャを根本から変える可能性を持つ。Ayar Labs(ELS方式)、Intel(レーザ内蔵方式)、NTT(メンブレンフォトニクス)と、3つの異なるアプローチが競合・共存しながら技術成熟が進んでいる。日本企業は新光電気工業のOSAT戦略、三菱電機のInP光エンジン、NTT・古河電工・新光電気によるNEDOプロジェクトなど、複数の軸で次世代光接続技術に関与している。CPOから光I/Oへの移行が本格化する2028年以降に向け、今から技術と連携の布石を打てるかが勝負を分ける。
本コラムは、これまでIBLCが蓄積してきた技術・市場に関する情報をもとに、IBLC専門家チームが独自の視点で整理・考察したものです。
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