超高真空中で試料を昇温加熱した際に試料から脱離する原子や分子を四重極質量分析計(QMS)でリアルタイム検出する
試料表面に吸着した化学物質の同定や定量だけでなく、試料内部に存在する化学種の拡散過程や深さ分布の情報も得ることが可能。材料や試料からの発生ガスを分析することで、工程改善策や材料表面付着物の確認・不具合発生原因等が把握できる。
【本技術の特徴】
① 測定に際して面倒な修練を必要とする前処理がない。
② ロードロックホルダー装着:試料交換時、概念図左側ホルダ―に試料を収容して交換
③ TDSの定量方式は、米国NISTに準拠する特許を取得済み。
④ 石英ロッドを介した試料のみを加熱:高温加熱時でも試料周辺の温度上昇を最小限に抑制。
⑤ 高感度確保用の、QMSイオン化室の試料直上配置。脱離イオン検出効果の最大化。
⑥ 同一範疇機器は存在するが、超微量性・高感度の用途を狙うものはない。
【本技術の応用事例・想定用途】
TDSは、1990年ごろから半導体分野の企業で装置の導入が始まった。フラットパネルディスプレイ、太陽電池、二次電池などに応用分野が拡がっていった。新たに構造材料の分野での利用が活発になってきている。先端的なナノテク材料、鋼板、コンクリート劣化診断などの利用法が近年提案されてきている。
・ディスプレイ分野: 液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの表示不良の原因となる、パネル内構造物からのアウトガス評価
・半導体分野: 半導体LSIに使われている絶縁膜(Low-K膜、High-K膜)の評価やLSI製造工程におけるエッチング液残差評価
・鉄鋼分野: トンネル・高速道路、鉄橋・ダムなどの鉄鋼の脆化に関与する水素の検出。