産業技術総合研究所
溶剤を使用することなく近紫外光の照射のみで基材から剥がせる塗料材の作成技術を開発した。本技術を応用し、除光液を使わずにジュエルネイルの塗料材を簡単に除去できることを確認した。
溶剤を使用することなく近紫外光の照射のみで基材から剥がせる塗料材の作成技術を開発した。本技術を応用し、除光液を使わずにジュエルネイルの塗料材を簡単に除去できることを確認した。
【本技術の概要】
産業技術総合研究所機能化学研究部門の山本貴広 主任研究員は、手足の爪に施す化粧や装飾を手掛けるネイルアート用品専門商社である株式会社TATと共同で、有機溶剤を用いず、近紫外光(波長=365nm)を照射することで装飾部の塗料材を剥がすことができる材料技術を開発した。
アクリル樹脂やウレタン樹脂などに液晶成分を均一に混合した新たな樹脂を用いて、近紫外光を照射すると、均一に混合されていた液晶成分の凝集構造が変化し、樹脂から相分離することを見出した。この技術を塗料材に適用することで、近紫外光による液晶成分の相分離により塗料材の密着性が大きく低下し、有機溶剤を用いることなく容易に剥離することができた。また、ジュエルネイルへ適用できるように、硬さの向上と無色化も実現した。
【本技術の特徴】
① 塗料材に液晶成分を混合することで、光で密着性を制御できる技術を開発した。
② 近紫外光を当てると液晶成分の構造が変化して塗料材の密着性が大きく低下した。
③ 溶剤を用いずに剥がせるペンキやコーティング剤のほか、ジュエルネイルなどに応用展開できる
【本技術の応用事例・想定用途】
溶剤を用いずにジュエルネイルを簡便に剥がせる新しいプロセス。
なお、これらの可視光と近紫外光は、既にジュエルネイルで広く使用されているものであり、既存のライトを使用できる。今後、今回の技術の進展によって、溶剤を全く使用しない施術が可能となり、ジュエルネイル利用者とネイリストの健康と安全の向上が大きく期待できる。