有望技術紹介

20 増感型熱利用発電による熱電発電素子

三桜⼯業株式会社
東工大が開発した「増感型熱利用発電」を用いた新型熱電発電素子の開発に成功した。

東京工業大学物質理工学院材料系の松下祥子准教授は、熱源に置くだけで発電し、発電終了後、そのまま熱源に放置すれば発電能力が復活する増感型熱利用電池を開発した。三桜工業は、2017年7月より本共同開発に参画。本発電システムの高出力化・高寿命化等の改良を行い、50℃環境下で4か月の連続発電に成功した。


【本技術の特徴】
・地熱や工場廃熱などの熱源に置くだけで発電する。
・40℃~80℃と身近にある温度で発電する。
・発電終了後、熱源の下に放置しておくと、発電性能が復活する。
・シート状の形状なので取り扱いが容易である。
・ロールtoロール製造法の実現が見込める

【本技術の応用事例・想定用途】
通常、熱を使った発電では、地下水を水蒸気化しタービンを回す地熱発電や温度差を利用して発電するゼーベック型熱電などで発電していたが、エネルギー変換効率向上が課題となっており、熱エネルギーで、そのまま直接発電が可能となる技術開発が待たれていた。
今回開発された電池は、光のエネルギーを電気に変える色素増感型太陽電池の原理を応用し、熱により生成した電子と酸化還元の化学反応を組み合わせ、熱下でのイオンの移動を電解質内で制御する増感型熱利用電池である。薄く、軽量で、低温でも発電する電池として、IoT用センサーや二酸化炭素(CO2)を発生しないクリーンな地熱利用発電所の電池としての展開を目指す。また、より安価な原料の探索、ならびにroll-to-rollに組み込める作製プロセスの検討を行い発電能力・耐久性の向上に取り組むことが期待される。

本技術と企業の説明PDFのダウンロード

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