アミン含有ナノゲル粒子による二酸化炭素回収プロセス
アミン含有ナノゲル粒子が二酸化炭素を効率よく吸着する事を見出したので、アミンの種類や量を最適化して高効率な二酸化炭素吸収材の開発を行います。開発途上で得られたデーターを基に、高効率で二酸化炭素を回収する材料を開発し、工場、火力発電所等から排出される二酸化炭素を高効率で回収するプロセスを実現させます。
研究機関・所属 | 九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 |
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氏名・職名 | 星野 友 助教 |
研究テーマ名 | アミン含有ナノゲル粒子の相転移現象を利用した高効率二酸化炭素回収プロセスの開発 |
応用想定分野 | 工場、火力発電所の排出二酸化炭素の回収 |
技術紹介
常圧で動作可能な低分子アミンの水溶液を用いた化学的吸収法・再拡散法が大規模な商用化可能技術として注目されています。例えば、アルカノールアミン水溶液と二酸化炭素との中和反応を利用する方法で、40~50°Cで反応させ、110~130°Cで脱離再生させる。再生に多大なエネルギーを必要とする事が課題となっている。この解決の為に、新規低分子アミンの開発や複数のアミンを混合する等の研究が行われています。既に発表されている特許などでは、ポリマーやシリカゲルに第1級アミンまたは第2級アミンを担持した吸収剤とか、第3級アミンと二酸化炭素と反応させて、両性イオン付加物を生成させる方法などがあります。
しかしながら、どれもが『吸収性能の向上』と『放散エネルギーの低減』は、トレードオフの関係にある為、二酸化炭素の回収効率を劇的に改善する事は難しいと考えられています。本研究では、第一期でアミン含有ナノゲル粒子を利用した新規の二酸化炭素吸着剤を開発し、第二期で高効率な二酸化炭素回収プロセスを開発します。
技術の特徴
合成化学を駆使して、様々な種類や含量のナノゲル粒子を合成し、各粒子の吸着特性を明らかにし、ナノゲル粒子の性能を限界まで向上させて、高効率二酸化炭素回収プロセスを実現します。
従来技術との比較
図で示されるように、従来技術ではトレードオフの関係にある為、エネルギー効率に本質的な限界がありますが、本技術は、アミン含有ナノゲル粒子の相転移前後で二酸化炭素を吸収・放散制御可能な相転移型アミン含有ナノゲル粒子を利用した、低エネルギーで高効率回収プロセスです。
特許出願状況
国際出願済み
研究者からのメッセージ
相転移型アミン含有ナノゲル粒子は、小さな温度差で大量の二酸化炭素を繰り返し回収することができます。材料の最適化、システム化を見据えて様々な方々と意見交換・共同研究させていただきたいと思っています。ご興味をお持ち頂けましたら、お気軽にご連絡頂けますと幸いです。
参考:
- 九州大学 工学研究院 化学工学部門 三浦研究室ホームページ
- http://www.chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab9/
発表論文:
- "Reversible Adsorption of CO2 Triggered by Phase Transition of Amine-Containing Micro- and Nano-Gel Particle" Y. Hoshino, K. Imamura, M. Yue, G. Inoue, Y. Miura
J. Am. Chem. Soc., 134, ASAP (2012).