有望技術紹介

37 歯の根管治療器具に革命

ノイシュタットジャパン株式会社
ベンチャー企業のノイシュタットジャパンは、歯科治療で時間のかかる根管治療(根治)を大幅に改善する「高速ピストンモーション根管コントラ」と呼ばれる技術を開発した。

【本技術の概要】
同社が開発した歯の神経組織除去を行う歯科器材用技術は、歯科界で「高速ピストンモーション根管コントラ」(愛称「キツツキコントラ」)と呼ばれ、同社の現役歯科医師である鈴木計芳代表取締役と鶴見大学歯学部の細矢哲康教授によって開発された技術である。長時間の施術と歯科医の高度な技術が求められる根管治療器具(コントラ)に係る物理的な応力関係を根本から見直し、従来の「ねじり込む力」 による掘削から、キツツキのような深浅運動に変えた技術を開発した。歯科医や患者にとって、今までに比べ根管治療が安全・安心でかつ、大幅な治療時間短縮が可能になった。
根管治療では、1961年にIngleによって根管形成用ファイルが開発されて以来、多くの改良がなされてきたが、今回開発された技術は、大きなパラダイムシフトの一つに位置付けられるとも言われている。

開発された「Hファイルピストンコントラ」を使用した場合、写真(左)のようにきれいに削り取られていた。一方、従来の「手操作Kファイル」(右)では、むしり取られたり、亀裂を伴った削り片が多く認められた。

【本技術の特徴】
① 薬事認証取得は、わずか1ヶ月弱でなされ、画期的器具として評価が高い。
② 安全かつ最大5,000回/分の高速で作動することが可能である。
③ 臨床使用時を想定した耐久性・動作性・静粛性を実現した。
④ 根管治療が大幅に迅速化し、医師の背中・首・肩・腰など身体への負担を著しく軽減した。
⑤ 僅か5分間で、歯の根管部の垂直・側方部のみならず、壁面研磨まで完了することが可能である。
⑥ スピーディな治療で患者の待ち時間が大幅に減少し経営効率の向上が期待できる。

【本技術の応用事例・想定用途】

歯根管治療などの切削は、依然として人手に頼り、治療の巧拙や良否があるのが実情である。従来回転連動の根管治療器具では、径の細い器具から太い器具へと取り換えながら段階的に進めており、過度の力や大きな動きを加えると、根管内で器具が破損し、歯根先端部に穿孔や亀裂が生じる場合もある。そのため安全・迅速な治療法が長年待ち望まれていた。今回開発された上下運動(ピストン運動)のよる治療技術は、これらの要望に応えるものとして注目され、歯科治療のロボット化につながる技術として大きな期待がかかる。

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