東北大学と共同で近接容量イメージセンサーを開発した。さらに、このセンサーを応用してプリント配線板などの欠陥箇所可視化する検査システムを開発した。
【本技術の概要】
オー・エイチ・ティー株式会社は、東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻・未来科学技術共同研究センター 須川成利教授の研究グループと共同で、微小な容量分布を2次元で高精細に動画撮影が行える近接容量イメージセンサーの開発に成功した。
本センサーは、マトリックス状に微細な電極を配置した静電容量式センサーで、対象物との静電容量結合により、電圧(電荷)の分布を2次元画像として表示できる。たとえば、プリント基板の配線に電圧をかけてセンシングすることで、光学画像検査では見つけにくかった欠陥箇所を鮮明に可視化することができる。
【本技術の特徴】
開発した近接容量イメージセンサーは、「EPIS(Electrical Picture Inspection System)」とよばれ、CMOS イメージセンサー開発で培ったノイズリダクション技術を応用し、0.1aFと言う極めて微小な容量検出精度を達成した。これにより、絶縁材料内の微弱な誘電率の差や微小な導体の分布、導体表面の僅かな凹凸の分布を高精細で可視化することが可能になった。従来の電子回路基板の検査では、不良配線の検出のみであったが、本センサーを使用すると微細な配線パターンの断線部分とその位置の特定ができるため、リペア装置と組み合わせることで、検査・リペアの高効率化が実現できる。
本イメージセンサーは、センサーサイズ15mm×15mm、ピクセルサイズ12μm×12μm、ピクセル数1M pixの検出電極を持つ画素が二次元に配置されている。薄い保護膜で覆われた検出電極に計測対象を近づけることで、計測対象中の対向電極と画素内の検出電極間に発生する微小な容量を画素毎に電圧信号に変換して出力する。
① 断線欠陥および位置の検出が可能となった。
② 短絡欠陥および位置の検出が可能となった。
③ 細り・太り・突起・欠け・凹みなどの潜在欠陥及び位置の検出が可能となった。
④ コイル・ループ基板、バックドリル加工基板の電気検査が可能となった。
プリント基板の配線検査では、欠陥部より先には電気信号が流れないので、EPIS画像には映らないため、光学画像検査では難しかった Open/Short検査を明確に判定できる。
⑴ フラットパネル検査装置
⑵ 電子回路基板検査装置
⑶ 様々な計測対象に対応
(導体の凹凸検出や、絶縁物中の金属の分布、有機物・植物・生体など水分量の分布など)