有望技術紹介

41 金属より高い熱伝導性を持つ窒化アルミニウムウィスカー

株式会社U-MaP
名古屋大発ベンチャーU-MaPは、金属より高い熱伝導性を持つAlNウィスカー(ファイバー状窒化アルミニウム)を開発した。樹脂への少量の添加量で高い熱伝導性を発揮する。

【本技術の概要】
スマートフォン、電気自動車、IoT、5Gなどに使用される電子機器では、機器からの発熱対策が課題となっており、その解決には樹脂部材の高熱伝導化が不可欠となっている。従来は樹脂に多量の放熱フィラーを添加する必要があったが、本材料では非常に少ない添加量で高効率に高熱伝導を達成した。

【本技術の特徴】
従来の放熱フィラーは球状(AIN、Al2O3)や鱗片状(BN)の形状であるため、熱を逃がすルート(熱パス)を形成するには、充填量80%もの多量のフィラーを添加が必要があった。本、AlNウィスカーはファイバー状の形状のため、熱伝導率は従来品の1.5~2倍以上あり、高効率な熱パスが形成できる。従って少ない添加量で高熱伝導性が発揮できる。
また、樹脂の特性を残したまま高強度や高靭性、加工性にも優れており、課題であった高品質・大量合成、低価格化が見込める製造技術も確立している。

① 高品質・高安定性のAlNウィスカーフィラーの合成に成功
② AINウィスカーを樹脂に分散したマスターバッチを開発
③ 既存の放熱フィラーとハイブリッド化が可能
④ 熱伝導率50W/mKクラスの軽量で柔軟性のある絶縁樹脂
⑤ 数kg/月ベースで生産・販売が可能

【本技術の応用事例・想定用途】

「AlN(窒化アルミニウム)ウィスカー」は、熱伝導率250W/mKと、金属より高い熱伝導率をもつ材料で、ファイバー形状により低含有量で⾼い放熱性をもつ。この特性により、電子機器に使用される「絶縁樹脂」として少量の添加量でも内部の熱を逃し、効率よく冷却することができる。軽量化・柔軟化が実現できるためモバイル端末や自動運転システムのほか、高輝度LEDやデータセンターなど、幅広い分野で活用が期待される。

PDFのダウンロード(詳細説明と問合せ先)

関連記事

TOP