名古屋大学と共同開発した負熱膨張微粒子が新規な熱膨張抑制剤となる
益々高精度化が要求される電子デバイス分野で、ナノメートルの精度で局所領域の熱膨張抑制技術が注目を浴びている。株式会社ケミカルゲートと名古屋大学が共同開発した負熱膨張微粒子は新規な熱膨張抑制剤として期待されている。
開発された負熱膨張(温めると収縮する)微粒子“CG-NiTE” は、銅、亜鉛、バナジウムの3種金属から なる(Cu-Zn-V-O 系)酸化物粒子で、室温を含む広い温度域で高い負熱膨張性能をもつ素材である。従来は シリカ(SiO2)の微粒子が使われてきたが、機能的には限界を迎えていた。このソリューションとして電子 デバイス業界で注目されている CG-NiTE は、製造においてプロセスの最適化を進め、2019 年に商業販売 を開始した。
【本技術の特徴】
1)大きな負の熱膨張係数(-10~-5ppm/K)が広い温度範囲(-50°C~500°C)の線形で実現
2)単体あるいは樹脂とのコンポジットでも負の熱膨張を発揮する
3)平均粒子径がシングルミクロンである
4)樹脂材に CG-NiTE を混合することで、割れや剥離の改善が可能
5)微細加工品の局所的発熱の抑制による形状安定が期待できる
6)均一粒径であることから、添加時の粒形制御や一定した混合/混錬物を得ることが可能
【本技術の応用事例・想定用途】
負熱膨張性微粒子は、小さな結晶粒が焼結されたセラミックで、絶縁体である。他の樹脂と複合化しても その絶縁性を失うことがなく、シングルミクロンの粒子であるため微細加工が必要な部品への適用も可能となる。エポキシ樹脂に分散させることでエポキシ樹脂としての熱膨張抑制が確認された。また、より粒径の 小さなシリカナノ粒子を同時に添加することでフィラー充填率をあげることができ、より効果的な熱膨張抑制が可能となる。