有望技術紹介

74 微細パターンが可能な低誘電感光性樹脂

昭和電工マテリアルズ株式会社
5G向けに低伝送損失を特徴とする感光性樹脂で絶縁材料を開発した。L/S=5µm/5µmの超微細な絶縁パターン形成も実現した。

【本技術の概要】

これまでセンサー基板といった電子部品では、感光性ポリイミド樹脂が部品内の層間絶縁膜として多く採用されてきた。これらの電子部品が、将来数十GHz以上の周波帯で通信する機器として用いられる場合、伝送損失を抑えるため、絶縁膜には現在よりも低誘電特性が求められるようになっている。
昭和電工マテリアルズは、同社ならではの技術により、比誘電率2.4、誘電正接0.0018を持つ低誘電感光性樹脂の開発に成功した。またフォトリソグラフィでL/S=5µm/5µmの微細な絶縁パターン形成を実現した。

【本技術の特徴】

  1. 高周波帯での伝送損失を低減
    従来、センサーの層間絶縁膜として用いられてきた感光性ポリイミド樹脂の誘電特性では、高周波帯での伝送損失を十分に抑制することが困難であった。同社は、従来の樹脂の骨格構造を見直すことと新規精製技術の開発により、低誘電特性(Dk=2.4、Df=0.0018)を実現、高周波帯における伝送損失を20%低減した。
  1. 吸水率を抑えることで、感度の高いセンサーを実現
    湿度の高い環境に温湿度センサーがさらされた場合、センサー内の樹脂は周囲の水分を吸収し、誘電特性が悪化することがある。この誘電特性の悪化は、電気信号の通りを阻害し、センサーの感度を低下させてしまう。そのため、センサーの感度を向上するために、吸水率の低い樹脂が求められている。今回開発された低誘電感光性樹脂は、優れた誘電特性により高周波帯での伝送損出を抑え、低い吸水率であり、センサーの感度を維持することから温湿度センサーに用いられる感光性絶縁材料に適している。また、微細なパターニングが可能なことから、半導体用電子回路形成などにも応用できる。
  2. 感光特性により微細パターニングが可能
    感光特性を持ち、露光・現像によりL/S=4μm/4μm、L/S=5μm/5μmの微細なパターニングが可能である。
  3. 優れた柔軟性
    感光性ポリイミド樹脂と比較し、機械的特性(弾性率0.4GPa、破断伸び率150%、残存応力1以下)と、柔軟性に優れ、基材の応力によって発生する反りが少なく、導通や回路のゆがみを抑制する特徴を持つ。
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