有望技術紹介

65 薄型で伸縮自在なスキンディスプレイ

大日本印刷株式会社:
皮膚上に貼り付けたディスプレイに外部から送られた画像メッセージを表示できるコミュニケーションシステムで、スマートフォン、タブレット端末に匹敵する新たなデバイスである。

【本技術の概要】

東京大学大学院工学系研究科長・染谷隆夫教授の研究チームと大日本印刷株式会社(DNP)は、独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を活用し、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイと駆動・通信回路及び電源を一体化した表示デバイスの製造に成功した。

【本技術の概要】

スキンディスプレイには、1.5mm角サイズのフルカラーLEDが薄いゴムシートに2.5mmの等間隔(12×12個、144画素)で埋め込まれている。全体の厚みは約2mmで、130%までの伸縮を繰り返しても電気的・機械的特性が損なわれない。また、薄型・軽量で伸縮自在なため、皮膚に直接貼り付けても人の動きを妨げることがなく、装着時の負担を大幅に低減する。皮膚以外にも、曲面を含む色々なものに張り付けることができる。 表示部の駆動電圧は3.7V、表示スピードは60Hz。最大消費電力は平均100mW。フルカラーLEDによって、9,000色以上の色表現ができる。表示エリアの外周周辺に制御回路とバッテリーも実装しており、配線ケーブルを不要とし、手の甲に貼り付けたスキンディスプレイに外部からBLE(Bluetooth Low Energy)通信で表示内容を制御することも可能である。

本装置は、伸縮性のある配線材料として銅を採用しており、一般的な電子部品製造プロセスを用いて製造できる。量産で実績のある製造方法が採用できるため、早期の実用化と低コスト化が期待できる。発光素子として無機半導体を発光材料としたLEDと独自の伸縮性ハイブリット電子実装技術を駆使することで、従来の伸縮性ディスプレイよりも安定性と機械的耐久性を達成した。伸縮自在なディスプレイを皮膚に貼り付け、人の動きに追従させた状態で、数百個のLEDが1画素の故障もなくフルカラー動画を表示できた。

【本技術の特徴】

  1. 曲面形状に追従できる伸縮性ハイブリッド電子実装部品の実用化に目途をつけた。
  2. 皮膚に貼って用いるスキンディスプレイのフルカラー化に成功した。
  3. 配線の信頼性を向上し、駆動・通信回路や電源を一体化した。

【本技術の応用事例・想定用途】

通信・駆動回路、電源を一体化したことにより、スタンドアローンのコミュニケーション手段として利用できる。たとえば、遠く離れたところにいる人からの応援メッセージが、あたかも自分の身体の一部に灯るかのように表示でき、SNSやメールでのコミュニケーション以上に、相手のメッセージを受け手が身近に感じる効果が期待できることから、スマートフォンやタブレット端末よりも情報へのアクセシビリティが大幅に向上すると期待される。

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