NEDO 若手研究グラント平成21年度採択テーマから産学連携のための研究紹介

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5つのエコロジーな元素からなる赤・緑・青顔料の開発

環境に負荷を与えない元素La,Ti,Sr,O,Nからなる赤・緑・青色の無機顔料を開発しました。これらの元素比を変えることにより、様々な色合いの無機顔料が製造できます。

研究機関・所属 徳島大学 大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 先進物質材料部門
氏名・職名 森賀俊広 教授
研究テーマ名 無害なユビキタス5元素よりなる赤・緑・青3原色酸窒化物顔料粉末の開発
応用想定分野 顔料、インク、化粧品
技術概要

 従来の有色無機顔料は耐久性の良さが特徴でありますが、CrやCdなど毒性を有する元素を含んでいる場合が多くみられます(例PbCrO4(黄鉛、クロムイエロー)CdS、CdSe(カドミウムレッド))。法規制の点からも、毒性のない新規顔料が求められています。近年無毒な顔料として酸窒化物系が注目されています。ぺロブスカイと構造を持つLaTiO2Nにおいて、酸素/窒素比、La/Ti比、Srの導入などの組成を変更することにより、バンドギャップが変化し、赤から青まで所望の色合いを持つ顔料が製造できます。錯体重合法により、反応性の高い非晶質酸化物前駆体を合成し、アンモニアにより窒化することにより、LaTiO2Nが得られます。これをアニールすることによりO/N比を変化させることにより体色の調整ができます。

  • (図A)製造プロセス概要
  • (図B)La/Ti,O/N比の変化に対応する顔料の色
  • (図C)Sr導入による青色顔料

技術の特徴
(1)顔料の高い安全性
La,Ti,Sr,O,Nの5元素から、各種色合いの顔料が得られます。
(2)製造プロセス
現段階は錯体重合法により前駆体を作り、それを窒化するプロセスを経ていますが、固体酸化物を出発原料としても合成可能です。アンモニアによる窒化は必須です。
従来技術との比較
既知の無機顔料との比較は不十分なところもありますが、耐熱性、対候性(耐紫外線性、耐水性)、隠蔽力などいくつかの主要な評価項目で優れていることを確認しています。
特許出願状況
特開2010-189456 青色材料及び材料の製造法
研究者からのメッセージ

 La,Ti,Sr,O,Nの5元素しか含まれていません。食器用、医療用品など人体に直接触れるような用途に使用される顔料として期待しています。また、顔料から離れた、用途へのご提案があれば大いに歓迎いたします。

参考:

Phys.stat.sol.(a), Vol.203,2818-2822(2006)
J.Ceram.Soc.Jpn.,Vol. 115, 637-639(2007)
J.Ceram.Soc.Jpn., Vol.117,76-81(2009)
IOP Conference Series, Mater.Sci.Eng., Vol.1, 012018(2009)
色材協会誌、Vol.83,115-120(2010)

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