液中での原子分解能観察を可能にする局所表面構造・電位分布同時計測技術
原子間力顕微鏡のノイズを大幅に低減することで、液中での原子分解能観察を可能とする技術を世界で初めて開発しました。現在はこの技術をさらに発展させて、液中において原子スケールの表面電位分布を表面形状と同時に計測できる技術を開発しています。
研究機関・所属 | 金沢大学 フロンティアサイエンス機構 福間研究室 |
---|---|
氏名・職名 | 福間剛士 准教授 |
研究テーマ名 | 液中での原子分解能観察を可能にする局所表面構造・電位分布同時計測技術 |
応用想定分野 | 電池、触媒、めっき、バイオセンサ、化粧品、コンタクトレンズ等開発の主として電気化学、医療バイオ分野 |
技術概要
固液界面における局所表面構造・電位分布計測技術は、新型電池やバイオセンサなどの新技術の研究開発に役に立つほか、触媒材料や表面加工技術などの既存材料・技術の性能改善にも貢献します。しかし、液中での表面電位分布を直接測る技術は存在せず、直接定量的かつ局所的に計測することは困難でした。我々は、原子間力顕微鏡のノイズを大幅に低減することで、液中での原子分解能観察を可能とする技術を世界で初めて開発しました。将来的にはこの技術をさらに発展させて、液中において原子スケールの表面電位分布を表面形状と同時に計測できる技術を開発して行きます。
- 【図の説明】原子スケール表面構造・電位分布同時計測
周波数変調原子間力顕微鏡を用いた表面電位計測技術では、鋭くとがった探針を先端に有するカンチレバーとよばれる力検出器を用います。探針を試料表面に近付け、表面を走査することで表面構造と電位分布を同時に原子スケールで可視化することができます。
技術の特徴
- ・従来、液中での表面電位分布を直接測る技術はなかったため、ゼータ電位という間接的な指標から議論されていましたが、これを直接定量的かつ局所的に計測できるようにします。
- ・従来、原子間力顕微鏡を利用した表面電位計測技術は、液中では利用できませんでしたが、これを世界で初めて利用可能とします。
- ・固液界面における化学反応が関与する産業技術の性能や効率を律速している要因を原子スケールで理解するのに役立つ技術の開発を目指しています。
従来技術との比較
特許出願状況
関連する特許は4件以上をPCT出願し、さらに数件準備中。またすでに2件以上の特許については、企業よりライセンス要望を受けています。研究者からのメッセージ
電池、触媒、めっき、バイオセンサ、化粧品、コンタクトレンズなどの商品開発に関心もしくは実績を有する企業・組織などに、それらの商品の開発を本課題で開発する技術を用いて行う共同研究開発を提案します。