N末端を特異的に修飾した蛋白質の人工抗体やPET診断への発展
標的細胞に結合する環状ペプチドとヒト抗体Fc部分との複合体(環状ペプチド抗体,cPv-Fc)は、体内で標的細胞に結合し、後者を捕食細胞の標的にすることが期待できる。本システムにより、従来の抗体療法では実現できなかった革新的医療技術を実現する。
研究機関・所属 | 岡山大学 大学院自然科学研究科 |
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氏名・職名 | 瀧真清 助教 |
研究テーマ名 | 標的細胞に結合する環状ペプチド探索手法開発と環状ペプチド担持抗体への変換 |
応用想定分野 | バイオテクノロジー 抗体医薬品 診断用試薬 担体固定化 |
技術概要
蛋白質のN末端だけに様々な非天然アミノ酸を導入する酵素化学的手法(NEXT-A法)、およびN末端以外の任意の位置を修飾する手法などをファージディスプレイ法に適用する。これにより、ライブラリーから標的細胞に結合する環状ペプチドを探索し、得られた最適環状ペプチドとヒト抗体Fc部分との複合体を作製する。この環状ペプチド抗体(cPv-Fc)は、体内で標的細胞に結合し、後者を捕食細胞の標的にすることが期待できる。本システムにより、従来の抗体療法では実現できなかった革新的医療技術の開発が可能となります。
技術の特徴
- (1)大スケールでの蛋白修飾が可能
- mgからgスケールで蛋白質やペプチドに様々な人工分子を導入することができます。
- (2)小さなサイズの抗体医薬が実現できる
- 従来の抗体医薬と比較し、分子量が1/3程度のものを開発可能です。抗体がかさ高いことに起因していた問題点の解決が可能となります。
- (3)夾雑物が存在しても選択的に目的の蛋白質やペプチドの修飾が可能
- 蛋白質1分子に対し、人工分子1分子の割合で特異的に導入が可能です。NEXT-A法では、細胞抽出液など夾雑物が存在する条件下でも、選択的に目的の蛋白質やペプチドの特異的標識が可能です。
従来技術との比較
特許出願状況
特許出願(2009/08/26)およびデータ追加(国内優先権主張出願; 2010/02/22、2010/08/26)研究者からのメッセージ
どのようなターゲット分子に対してセレクションすればいいか、またどのようなスクリーニング手法を用いれば効率的か、など事業をなさっている皆様方のご意見をお伺いしたいです。