セルラーゼのナノ粒子表面への集積化により、高機能化が可能となる技術の開発
セルラーゼをモジュール単位で分割し、結合ドメインを3次元的に再編成したセルラーゼを磁性ナノ粒子表面に集積する事により、セルロース糖化工程の革新的低コスト化と、酵素活性を十数倍向上させるクラスター化セルラーゼの技術を開発しました。
研究機関・所属 | 東北大学 大学院工学研究科 バイオ工学生体機能化学講座 |
---|---|
氏名・職名 | 梅津光央 准教授 |
研究テーマ名 | 低コストエタノール生産プロセスに使用するセルラーゼ酵素の研究開発 |
応用想定分野 | バイオエタノール |
技術概要
セルラーゼはセルロース結合機能ドメインとセルロース分解機能ドメインからなるモジュール酵素で、研究者らは酵素をモジュール単位で分割し、結合ドメインを3次元的に再編成することによって、高次な多価効果を発揮する3次元クラスター化セルラーゼとし、結合ドメインの多価効果から酵素活性を十数倍向上させました。
技術の特徴
セルラーゼには、セルロースに接着するドメイン(CBD)とセルロースを加水分解するドメイン(CD)が一本のポリペプチドリンカーでつながった構造で、抗体・ナノ工学で培った材料結合性ペプチド・抗体の作製技術により既知のセルラーゼの遺伝子から新しいセルラーゼを再構築します。
大腸菌を用いてCBDとCDを各々別々に組換え、その後、両者を連結させ、酵素蛋白質として調製し、磁性粒子(50~100nm)の表面にセルラーゼを修飾します。
磁性粒子表面にセルラーゼを修飾しているため、その磁力を使うことによりセルラーゼを回収・再利用すことができます。
従来技術との比較
- ・既存の固体分解酵素の機能を簡単に高機能化できます。
- ・ドメイン単位での発現調製になるためので、タンパク質発現系の開発に負担をかけません。
- ・ナノ粒子を用いてクラスター化できますので、タンパク質だけの時と比較し低コストで、ナノ粒子の機能も利用できます。
特許出願状況
特願2010-083962セルロース分解のためのタンパク質複合体及びその利用研究者からのメッセージ
バイオ分野でのナノ粒子利用についての新しい提案です。バイオ展開を模索しているナノ材料企業との意見交換・共同研究を求めています。
参考:
論文リスト